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行動学と行動心理学と動物行動学と行動分析学 3

こんにちは。

色々な行動学についてのお話、第3回目です。

「犬のしつけ」の世界で一般的に認知されている「行動学」といえば、やはり「動物行動学」になろうかと思います。
この「動物行動学」と「行動分析学」の対比を続けつつ、「なぜ、行動分析学なのか?」について、色々と。

前々回のエントリでも書いたように、動物行動学は「図鑑に載る」ような問です。
「犬という動物は、生まれてから死ぬまでに、こんな行動をします」みたいな。
犬という動物の行動カタログ」と言うと、わかりやすいでしょうか?

ですから、子犬を飼ってから、たとえば「生後〇ヶ月~〇ヶ月の間に、甘噛みをするようになります」とか、「大体〇ヶ月頃になると、オス犬は足を上げておしっこをするようになることが多い」とか、そういったことを「知る」ためには、非常に役に立つ学問といえます。

いわゆる「問題行動」についても、考えてみましょう。
たとえば、「他の犬に吠える」という行動です。
動物行動学では、「他の犬に吠えるという行動を、犬という動物はする傾向にある」ということはわかります。
さらに「おそらく、縄張りというものがあって、そこへの侵入者に対する警戒行動の一種と考えることができる」ということも、わかるかもしれません(このあたりの見解や表現の仕方は、研究者によって違うこともあると思います)。

では、「この『吠える』という行動は、警戒行動である」ということがわかったとしましょう。
でも、トレーナーという職業である以上、それだけでは足りませんね。
「では、どうすればこの『吠える』という行動はなくなるのか?」ということがわからないと、意味がないわけです。

飼い主さんから「なぜ、うちの犬は吠えるんでしょうか?」という質問を受けて、「警戒してるんですよ」だけでは、足りないんです。

「警戒してるのは見ればわかる。じゃあどうするんですか?」

これがわからないと、意味がありません。

そこに、「行動分析学」が使えるんですね。

通常、私たちは「行動の原因」を考える際、「意識」や「感情」といった「内面」を考えます。

「むかついたから、殴った」
「悲しいから、泣いた」
「楽しいから、飛び跳ねた」

こんな風に。

しかし、実はこの説明は何も説明していないんですね。

たとえば、「他の犬に吠える犬」を例に、考えてみましょう。

「この犬が吠えているのは、他の犬を警戒しているからだ」という説明があったとします。

「警戒しているから、吠えている」

うん、納得できそうです。

でも、ここにちょっと意地悪な質問をぶつけてみます。

「どうして、警戒しているってわかるんですか?」
「他の犬に、吠えているからですよ」
「どうして吠えてるんですか?」
「警戒しているからですよ」
「どうして警戒してるってわかるんですか?」

おやおや?なんだか変なことになりました。
このように、ぐるぐると同じところを回ってしまうような論法を「循環論法」と呼びます。

そして、行動分析学はこの「循環論法」を徹底的に排除しようとします。
そのために、「行動の原因を、体の外に求める」という立場を取るわけです。

さて、続きはまた次回に。

高山 仁志

カテゴリー: 行動分析学についてのあれこれ — dlc-pro 1:50 PM  コメント (0)

環境が犬とオーナーを育む ―ドッグパーク編1(カナダ)―

Dali & Thomasです。
2頭のスプリンガースパニエルと共にちょっと都会の神戸から、結構田舎なカナダの首都に引っ越し3年半。相変わらず悪戦苦闘中の人間を尻目に、犬たちはカナダ生活を満喫中です。

Dali & Thomas

今回は、日本とは大きく違う環境のひとつとして、カナダのドッグラン事情をレポートします。ちなみに、こちらでは“ドッグラン”とは言わず、“ドッグパーク”と呼ぶのが一般的です。

まずは、私が、よく行くドッグパークを紹介します。
http://www.brucepit.com/

『ブルースピット』というオフリーシュパークなんですが、そうですね、東京ドームで言えば軽く4つは入るでしょう。
多彩なコースは犬のみならずオーナーから見ても魅力的です。
①広場(これだけでも十分広い)ではオーナー同士の情報交かねて犬のソーシャライズ
②林間コース、これは林の中を走ったりハンティングドックには最高のコースです。
③平野コース、草むらから鳥が飛びたつのでウチの犬もクレイジーになります。
④アップダウン、足の筋肉がつきます。おかげでウチの犬は非常に筋肉質なスプリンガーになってます。
⑤池、これは言うまでもありませんね。みんな飛び込んでしまいます!

*街中にも柵に囲まれたドッグパークがありますが、少しローカリズムが強く(これは所得層・人種含め)、「ご近所付き合い」に近い部分があるので私はあまり行きません。犬も楽しそうではないので。

上記のようなドッグパークは政府公認です。したがって、その管理(砂・土を最低1年に一回入れたり植樹したり、除雪)、人件費、等はすべて税金で運営されており、オタワにはこのような場所が2つあります。
これ以外に政府公認ではなくても自然をしっかり残した形での大きな公園(これも最低東京ドーム1.5個分はあるでしょう)が複数あります。
冬はカントリースキーのコースになります。

面白いのは
①犬の持ち込みを禁止するゾーン
②犬の持ち込みはOKだけど必ずリーシュしなければならないゾーン
③オフリーシュOKのゾーン
とはっきり分かれております。犬の持込が禁止されているゾーンは生態系を崩さないためです。見回りの警官(マウンテンバイクに乗った短パンにサングラスの警官)がきて、しっかりルールを守れてないオーナーがいる際には$100の罰金切符を切ります。

要は白黒はっきりしているということですね。

日本から見れば「広大な土地があるカナダなら当然かな?」とも取れますが、実はもう少し違う観点で捕らえなければ“本質”を見失います。

その“本質”とは何か!?

これは、「犬を飼う」という“文化”を考えるにあたって、非常に重要な事を示唆してくれるものですので、日本で犬に携わる仕事をされている方々は、是非参考にしてもらえればと思いますが、詳しくは、また次回に…。

CANADA report
担当:Dali & Thomas

カテゴリー: 『行動学』を学びませんか? — dlc-pro 11:39 AM

『行動学』を学びませんか!?(8)

それでは、前回の回答です。

“消去バースト”の説明以外に不足していたものとは…。

まず一つ目は『“無視”の具体的な説明がされていない』ことが挙げられます。

これは、どういうことかというと、私たちドッグトレーナーが俗に言う“無視”という対処を、飼主様はそのままではできないということです。

つまり、少なくとも
①見ない
②触れない
③声かけない
という3点セットを具体的に飼主様に示す必要があるということなのです。なぜならば、飼主様は“無視”をしているつもりでも、いつのまにか何の悪気も無く“アイコンタクト”をとってしまっていたりする訳です。要するに、飼主様がイメージする“無視”と私たちドッグトレーナーが知っている“無視”とは違うものなのだということです。しかし、これでは、“無視”が成立しません。実際、『行動分析学』における実験でも「“注目”は強化子になり得る」ということが検証されており、これが意図せず時折実施されてしまうと、事実上の“部分強化スケジュール”として対象となる行動がさらに強化されることが分っています。厳密にいうと、“動く”ことすら強化子になってしまう場合があるので、確実に“無視”を実行してもらうためには、最低限の説明として付け加えておくべきでしょう。

さらに具体的な説明としては“無視”の次の行動はどうすればよいのか?』ということに触れられておらず、飼主様は「いつ“無視”から次の行動へ移れば良いのか」が分らず、吠え止んで10秒程もすると、今だとばかりに「おぉーっ!!よくできたっ!!」などと言って、犬を褒めてしまいます…。これでは、上手くいきません。『行動分析学』には、“反応(=目的とする行動)の直後に強化子を与えることでその反応を強化しやすくなる”という「即時強化」という考え方があり、その“直後”を“60秒以内”と定義する「60秒ルール」というものがあります。この考え方からすれば、「要求吠え」と呼ばれる行動の場合、吠え止んでから少なくとも60秒以上は、犬に対して一切の(飼主の)反応を示さないようアドバイスするべきです。さもなくば、これもまた“部分強化スケジュール”の要領で対象となる行動がさらに強化されることになり「上手くいかない」原因の一つになってしまいます。
よって、これを二つ目の不足事項としてもいいでしょう。

そして、三つ目は、『この3点セットが確実に実行できなければ、逆に「要求吠え」が“強化”される可能性が高くなるという“リスク”を飼主様に説明していない』ということです。

これは、道義的にも大きな問題です。飼主様は、ドッグトレーナーの指導によって“無視”という対処を行う訳ですから、そこに内在する“リスク”に関しては、きちんと説明する義務がドッグトレーナーにはあるはずです。そんな“リスク”があると分っていたなら、飼主様は、そのアプローチを拒んだかもしれませんし、実行する際も、“消去バースト”の説明と併せて提供することができていたなら、以前よりひどくなったからといって、諦めるような事態にはならなかった可能性が高くなります。また、この“リスク”を説明することによって、飼主様には“選択肢”が出現し、どちらかを選ぶことによって以前よりも症状を悪化させずに済ませることができます。

そういった意味でも、これは「知らなかった」では済まされない事柄ですし、「知っていて説明していない」のであれば、背任行為と言われても仕方がありません。

以上が、前回の回答です。

少々厳しい話でしたか?もしくは、「なるほどっ!!」と思っていただけるような話でしたか?それとも、やっぱり「そんなことぐらい知ってるよ!!」という話でしたか?

いずれの感想でも構いません。

しかし、確かに言えることは、このような説明不足によって、飼主様自身が「上手くいかない」現実があり、「ドッグトレーナーには来てもらったが、改善されなかった」という実績を積み上げているのだという事実があるということです。

そこから目を背けないようにしましょう。

そして、『やり方』ではなく『理論』で理解することの重要性を分かっていただければと思います。

さて、ここまで説明しても、飼主様は、“無視”を続けることができないことがあります。

ここから先が、『行動分析学』の真骨頂とも言うべき部分なのですが、なんだか分かりますか!?

またまた回答は、次回に続きます…。

お楽しみに。

DLC-PRO 山崎 崇

カテゴリー: 『行動学』を学びませんか? — dlc-pro 5:25 PM  コメント (0)

行動学と行動心理学と動物行動学と行動分析学 2

こんにちは。

色々な行動学についてのお話、第2回目です。

前回は「動物行動学と、行動分析学は違うもの」というお話でした。

簡単にいえば、「動物行動学は、図鑑に載せるための学問」です。

じゃあ、「行動分析学は?」というお話です。

前回のエントリにも書いたように「行動分析学」は「心理学」の中にあります

心理学にも本当に色々あって、「社会心理学」「発達心理学」「知覚心理学」「生理心理学」「認知心理学」などなど、他にもたーっくさんあります。

お暇な方は、一度調べてみてください。

そんな心理学の中にあるのが、「行動分析学」です。

前回のエントリでも少し触れたように、行動分析学の研究によって「行動の原理」というものが明らかになりました。

この「行動の原理」というのは、別に難しいものでもなんでもありません。

ものすごく簡単に言えば「動物は、メリットを生む行動は何度もやるようになる」「デメリットを生んでしまう行動は、やらないようになる」というものです。

そして、この「行動原理」を応用して、色々なことに役立てていくことを目的としているのが、「行動分析学」です

では、「どんなことに役立てて」いるのでしょうか?

行動分析学が、もっとも応用されているのは「発達障害児療育」と呼ばれる分野です。

自閉症や、アスペルガー障害を持っているお子さんは、様々な困難さを抱えています。

そうした「困難さ」を軽減したり、あるいは「困難さを持ったままでも、社会に進出できるお手伝い」をしたりすることも、行動分析学のフィールドです。

あるいは近年では「組織行動マネジメント」と呼ばれる分野での応用も見られるようになってきました。

「組織行動マネジメント」とは、これまた簡単にいえば「社員の仕事のミスを減らしたり、仕事をもっとやりやすくなるような環境を整えたりすること」といえるでしょうか。

他にも、学級崩壊への取り組みや、脱引きこもり支援、障害者の社会進出支援、特別支援教育など、およそ「行動に関わる事柄」なら、行動分析学が役に立っていたりすることが多いんですね。

そしてもちろん、動物の訓練や調教といった分野でも、応用されています

個人的にもっとも応用できると考えているのが、「行動的な問題の改善」です。

いわゆる「問題行動をなおす」ですね。

犬のしつけにおける「行動的な問題の改善」。

これはもう、行動分析学がもっとも適していると、個人的には考えています

このあたりのことを、また次回に。

高山 仁志

カテゴリー: 行動分析学についてのあれこれ — dlc-pro 1:15 AM

『行動学』を学びませんか!?(7)

そろそろこのシリーズを終了しようかと考えたのですが、その前に少しだけ、『行動分析学』における問題解決方法について言及してみたいと思います。

 

事例は、何にしようかとあれこれ迷ったのですが、私の文章力で…このブログ上で説明できるもの…、これが一番難しい問題でした…。

 

それはさておき、その末に選んだものは俗に“要求吠え”と呼ばれる行動に対する対処です。

 

「なんだよ~、そんな簡単なヤツかよ~。」と言うなかれっ!!

 

そんな簡単なヤツでも、結局、結果を出していないドッグトレーナーがいるからこそ「以前にも、別のドッグトレーナーさんに来てもらってたんですけどねぇ~、あまり良くならなかったんですよ…。」なんてことを飼主様に言わせてしまうんですよね!?

 

皆さんも、きっと一度や二度はこのような飼主様の声を聞いた経験があるはずです。それが、“要求吠え”であったかどうかは、本来ならば問題ではありません。しかし、現実に飼主様が訴えられていた問題行動が、現場に行って見てみたら“要求吠え”だったことは数知れないのです。

 

ということで、本題に戻りましょう。状況は、以下の通りです。

 

【状況1:飼主談】

「以前からもそうだったのかもしれないんですが、ここ2~3ヶ月、うちのジャッキー(犬の名前:ウェルシュコーギー・ペンブローク)の吠え声がうるさいんですよ。マンションなので、ご近所に迷惑がかからないかと気が気じゃありません。早速、☆☆☆のドッグトレーナーさんに来てもらって、事情を話したら、『それは、“要求吠え”ですね』と言われました。そのドッグトレーナーさんがおっしゃる通り、私自身は、ジャッキーが吠えないようにするために、吠え始めるとオヤツを与えたり、気を逸らせるためにオモチャで遊んだりしていましたから、それが原因だとのことなんです。で、その対処法は、“無視してください”とのことだったのですが、これを続けていたら、収まるどころかドンドン酷くなる一方で…。結局、諦めて“無視”するのは止めてしまいました。今でも、時々思い出してやってみるんですけど、全く効果なしです…。」

 

いかがでしょう? よくある話ですか? よくあったら困るんですけどね…。

 

で、この話から読み取れる、上記のドッグトレーナーさんの対応の何がいけないのか分かりますか?

 

いや、何が足りないのか?といった方が良いですね。

 

そう、このドッグトレーナーさんの対応には何かが足りなかったんです。

 

さあ、それは一体何でしょう!?

 

ひとつの答えは、『“消去バースト”の説明を飼主様にしていない』ということです。

 

 “消去バースト”、これも、以前の10項目の中にありましたよね?

 

“消去バースト”とは、「強化された行動を消去する際、一時的にその発現頻度が上昇する現象のこと」です。

 

なので、飼主様が無視をして、問題となる行動の発現頻度が上昇したのであれば、「飼主様の対応に問題あり」とするこのドッグトレーナーさんの原因特定は、ズバリ正解であり、その対応として飼主様に“無視”をしてもらうことは、『行動分析学』の見地からも、ひとつの手段として間違いではありません。

 

しかし、この“消去バースト”の説明をしていなかったために、飼主様は「以前よりひどくなった。」といって、中途半端に“無視”を止めてしまいます。当然といえば、あまりにも当然ですよね。改善されると思っていたものが、さらにひどくなってるんですから…。

 

でも、もし、“消去バースト”の説明を受けていたら…、この飼主様は、少なからずその時点での対応中断には至らなかった可能性があります。

 

そして、答えは、これだけではありません。

 

つまり、“消去バースト”の説明をしたとしても、この飼主様は、対応を中断する可能性があります。

 

なぜか!?

 

ちょっと考えてみてください。

 

ヒントは、「上手くいかないから」です。

 

回答は、次回…。

 

お楽しみに。

 

DLC-PRO 山崎 崇

カテゴリー: 『行動学』を学びませんか? — dlc-pro 7:13 PM  コメント (0)