ドッグトレーナーの『理論』- 検証可能性 -

前回のこのシリーズからは、かなり時間が経ってしまいました…。それもこれも、8月に行った飼主様向けのセミナーへの反響が予想以上に大きくなり、中々ブログにまで手が回らなかったのが原因なのですが、これは極めて“嬉しい悲鳴”ですっ!!

ご参加くださった皆さんっ!!    本当にありがとうございましたっ!!

ということで、久々に続きです。

“ドッグトレーナーの『理論』は、果たして『理論』と呼べるのか!?”

このことについて、考えてみましょうということで、“ドッグトレーナーの『理論』”の代表格として「リーダー論:イヌと飼主との主従関係(上下関係)が逆転しているから飼主に従わないのだとする理論展開」を例に挙げておりました。

そして、【『理論』において重要な5項目】に照らして進めて参ります。

今回は、1番目の「検証可能性(反証可能性)」についてです。

それは、以下のようなことでした。

【検証可能性(反証可能性)】
『理論』は、事実に対して検証可能な明確な“予測”を作らなければならず、原則的に“間違っている”と証明できる「反証可能性」を兼備していることが良い『理論』として一般に同意されており、“間違っている”ことを証明することができない『理論』は予測的価値を持たないとされる。

では、この「検証可能性」とは、一体どういうことなのか!?というところから見てみましょう。

まずは、この文章を簡単な表現にしてみます。

【要約】
『理論』には、現実に確かめることができるハッキリとした“予測”ができる性質と、それを否定する立場に立った時に同様の指標を用いて明確に否定できる性質を兼ね備えていることが好ましく、将来的に明確な否定ができない『理論』が導き出す“予測(法則など)”には価値を見出すことはできない。

という風に解釈して良いと思います。

しかし、これでも引っ掛かる部分があるのではないかと思いますが、

それは、

“それを否定する立場に立った時に同様の指標を用いて明確に否定できる性質を兼ね備えていること”

という部分ではないでしょうか?

「なんで、否定されなきゃならないんだ!?」って感じられる方が多いのではないかと思うのですが、いかがでしょうか?

私も、最初の頃はそうでした。「間違いだと否定されるようなスキのあるものを『理論』と呼ぶのか!?」
という風によく感じたものでした。

でも、そうじゃないんですよね。

“もし、否定する(される)ならば、明確に否定できる構造であることが望ましい”ということであって、否定されたり批判を受けたりすることが『理論』として脆弱であるとか、『理論』は否定されることが前提なのだと言っている訳ではないのです。

こういう勘違いについては、「きちんと日本語を読めっ!!」とよく指摘を受けたものですが、ホントにそうだと思います。

ちゃんと書いてあるんですから…。

で、本題に戻りましょう。

「リーダー論」はどうでしょうか?

ポイントは、以下の3点に分けられそうです。

【リーダー論のポイント】
①イヌと飼主の間に主従関係(上下関係)がある。
②その主従関係(上下関係)が逆転している。
③だから、イヌは飼主に従わない。

ここからどのような“検証可能性”が見えてくるのか!?

続きは、次回です。

 

≪引用文献≫

ジェームズ・E・メイザー(2008).メイザーの学習と行動.二瓶社.p6-7

DLC-PRO 山崎 崇

カテゴリー: ドッグトレーナーについて — dlc-pro 3:04 AM  コメント (0)

ドッグトレーナーの『理論』

前回は、「ドッグトレーナーとは、不思議な職業だ…。」という、“識者”の方々の感想だった訳ですが、今回は、そこから更にもう少し踏み込んで“ドッグトレーナーの持つ『理論』”についての指摘です。

 

以前にも少し取り上げたことのあるトピックですが、ドッグトレーナーの持っている『理論』が、必ずしも『理論』とは呼べない場合が非常に多い…というか、ほぼ『理論』とは言えないものばかりだという現実について、お話したいと思います。

 

なぜ、“ドッグトレーナーの唱える『理論』は『理論』ではないのか!?”

 

それは、『理論』と呼ばれるものの“定義”をきちんと理解することで、明確にお分かりいただけるでしょう。

 

では、『理論』とは何か?

 

辞書では、以下のように説明されています。

 

『理論』:々の現象法則的、統一的に説明できるように筋道を立てて組み立てられた知識体系。また、実践対応する純粋な論理的知識。 

 

ん~、なんだかよく分らないですね。

 

「それではっ!!」ということで、専門書を紐解いてみると、『理論』として以下に示す5つの基準が一般的に重要であるとしています。

 

【『理論』において重要な5項目】

1.検証可能性(反証可能性)

『理論』は、事実に対して検証可能な明確な“予測”を作らなければならず、原則的に“間違っている”と証明できる「反証可能性」を兼備していることが良い『理論』として一般に同意されており、“間違っている”ことを証明することができない『理論』は予測的価値を持たないとされる。

 

2.簡潔性

もし、2つの理論がデータの主要部分を説明する能力において等しいならば、仮説の構成物と仮定が少ない方の『理論』がより好ましい

 

3.普遍性

より広範囲の観察によって、より多くの現象を扱える『理論』は、範囲の制限された『理論』よりも優れていると通常判断される。

 

4.多産性

科学的な『理論』の重要な特性は、特定の課題についてさらなる研究と思考を刺激する能力を有していることが望ましい。

 

5.データとの一致

これは、『理論』が“いかにうまく事実と一致するのか?”ということに関する最も明らかなテストとして事実の特定された部分をかなりうまく説明することを要求するものである。

 

ん~~、ますます難解になってしまいましたね…。

 

では、これを、“ドッグトレーナーの『理論』”の代表格である「リーダー論:イヌと飼主との主従関係(上下関係)が逆転しているから飼主に従わないのだとする理論展開」に照らしてみることで、分かりやすくしてみましょう。

 

続きは、次回です。

 

それまでに、皆さんも、一度ご自身の“ドッグトレーニングに関する『理論』”について考えてみてください。

 

 ≪引用文献≫

ジェームズ・E・メイザー(2008),メイザーの学習と行動,二瓶社,P.6-7.

DLC-PRO 山崎 崇

カテゴリー: ドッグトレーナーについて — dlc-pro 6:15 PM  コメント (2)

ドッグトレーナーは不思議な仕事!?

私の周りには犬に関する“識者”と呼ばれる方々がけっこうな数で存在する訳ですが、そんな方たちと初めて出会った時、ほぼ必ずといっていい程、聞かれることがあります。

 

それは、

 

「ドッグトレーナーって、何をやってるの!?」

 

という質問です。

 

最初の頃は、「おかしなことを聞く人だなぁ~」と思っていたのですが、“識者”と呼ばれる人に限って、「いつも最初にほぼ必ず同じ質問を受けているぞ」ということに気付き、自分なりに考察してみることにしました。

 

やり取りは、こんな感じです。

≪動物行動学系の先生との一幕≫

識者:ドッグトレーナーって、何をやってるの!?

私 :イヌのしつけです。

識者:ほう、イヌのしつけ!?それは、どういったものなの?

私 :社会生活への適応に必要な望ましい生活習慣を形成することです。

識者:へぇ~、で、それは、どんなことをするの!?

私 :基本的なものとしては、「マテ」・「コイ」・「スワレ」・「フセ」などのコマンドを教えたり、問題とされる行動を直したりするんです。

識者:ふ~ん、ということは、全般的に“行動修正”を行っている訳だね?

私 :そうですね。

識者:じゃ、「行動分析学」がメインなのかな?

私 :?????

識者:あれ!?違うの!????

 

(ドッグトレーナーの皆様、本当に申し訳ない…。当初は、こんな具合に“ドッグトレーナー”の醜態を曝しておりました…。)

 

さて、このような一連のやり取りから、以下のような構図が想像できます。

 

ドッグトレーナー行動修正”をやっている“行動修正”といえば「行動分析学」でも、「行動分析学」を知らないじゃ、何に基づいて“行動修正”をしてるんだ?明確な答えは返ってこない何をやっているんだろう!?不思議な職業だ…。

 

そして、よくよく聞いてみると、私に限らず、今まで訪ねてきた“ドッグトレーナー”は、皆、同じ状況だったそうで、そんなことが積み重なっていく内に、「ドッグトレーナーって、何やってるんだろう!?」って、不思議に思うようになったとのことでした。

 

「不思議な職業だ…。」で済ませてくれている間は、まだ良いのかもしれませんが、様々な指摘を今までに頂戴してきましたよ。

 

また、それは、飼主様も同じように感じておられるようです…。

 

そんなところを、次回以降は、書き綴ってみることにします。

  

 DLC-PRO 山崎 崇

カテゴリー: ドッグトレーナーについて — dlc-pro 4:25 AM  コメント (0)