行動学と行動心理学と動物行動学と行動分析学 4
こんにちは。
色々な行動学についてのお話、第4回目です。
前回は、行動分析学は循環論法を、徹底的に避けるというお話で終わっていました。
循環論法とは「何故吠えているの?」→「警戒しているから」→「何故警戒しているとわかるの?」→「吠えているから」というように、同じところをぐるぐると回ってしまうような論法のことです。
では、行動分析学ではどのように考えるのでしょうか?
行動分析学は、「行動は、環境との相互作用によって決まる」という考え方をします。
ちょっとわかりにくいですね。
「要求吠え」を例に、このあたりをご説明します。
いわゆる「要求吠え」とは、「犬が独りぼっちになると、飼い主が構うまで吠える」というものになろうかと思います。
では、何故「飼い主が構うまで、吠える」のでしょうか?
寂しいから?いいえ、この説明では行動分析学は納得しません。
循環論法に陥いってしまうからです。
「何故独りになると吠えるの?」
「寂しいから」
「何故寂しいとわかるの?」
「独りになると吠えているから」
ぐるぐると同じところを回ってしまいますね。
そこで行動分析学は、「行動の結果」に注目します。
要求吠えは、「飼い主が構うまで吠える」という行動でした。
つまり、「要求吠えをしたら、飼い主が構ってくれる」という「結果」が、生まれるわけです。
そして、この「結果」こそが、「行動の原因である」と考えるのが行動分析学です。
吠える → 構ってもらえた!
では、何故この「構ってもらえた!」が、「行動の原因である」と言えるのでしょうか?
そこには、「相関と因果」という、非常に大切な概念が関わってきます。
「相関と因果」この違い、わかりますか?
よく「因果関係」とか言いますよね?
あの「因果」です。
詳しいことは次回に回すとして、少しイントロダクション。
「因果」というのは、文字通り「原因と、結果」のことです。
この両者を指して「因果」と呼ぶんですね。
たとえば、宮崎県内で猛威を振るっている「口蹄疫」。
これは、「口蹄疫ウィルス」が、原因で起こる病気です。
では、何故「ウィルスが原因だ」といえるのでしょうか?
これ、考えたことはありますか?
「ウィルスが原因だ」というためには、何をすれば良いのでしょうか?
まず、「口蹄疫」を発症してしまった牛を調べます。
すると、「他の健康な牛にはない、ウィルス」が見つかります。
しかし、これだけでは「このウィルスが原因だ」とは言えません。
たまたま、そのウィルスが入っていただけかもしれないからです。
そこで、そのウィルスをやっつける薬を作ってみます。
そしてウィルスをやっつけた後、口蹄疫の症状がおさまったら、「口蹄疫の原因は、このウィルスだったんだ」ということが、はじめて言えるわけです。
この流れ、結構重要です。
1 口蹄疫の牛を調べた
2 なんかウィルス見つかった
3 ウィルスをやっつけてみた
4 口蹄疫がなおった!
5 ウィルスが原因だったんだ
「ウィルスが見つかっただけ」では、まだ原因ではないんですね。
そのウィルスをやっつけて、はじめて原因と言えるわけです。
行動分析学は「行動の原因」も、この流れと同じように考えます。
そしてこのことが、「行動分析学」が「行動の原因を、環境に求める」ことの、大きな理由になります。
更に、この考え方こそが「行動分析学」が「行動の科学」と呼ばれる所以でもあるわけです。
ということで、また次回に。
高山