行動学と行動心理学と動物行動学と行動分析学 1
はじめましての方がほとんどだと思います。
犬塾行動分析学セミナーで、講師を担当させていただいている、高山と申します。
今日から少しずつ、「行動分析学」に関連する様々なことを、こちらのブログで書いていくことになりました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
さて、現在の日本の犬のしつけ界は、一種の「行動学ブーム」と呼べるのではないでしょうか。
様々なウェブサイトや書籍などでも、「行動学を基にした」「行動心理学に基づいた」といった言葉がうたわれていることからも、これがうかがえます。
しかし、「行動学が、具体的にはどんなものなのか?」をご存知の方は、あまり多くないように思います。
ある人はシンプルに「行動学」と表現し、またある人は「行動心理学」、別の人は「行動科学」、更には「動物行動学」などなど…
色々な言葉で、表現されています。
いかがでしょうか?それぞれがどう違うのか、ご存知でしょうか?
どうも色々なサイトを見たり、本を読んだりしている限りでは、これらの違いを明確に論じているものは少ないように感じます。
そして、特に日本の「しつけ界」では、「動物行動学」と「行動分析学」とを、混同されている方が多いように見受けられます。
意図的か、そうでないかはわかりませんが、この両者を「行動学」や「行動心理学」などの言葉で表現していたりもするかもしれません。
まずは、これら「動物行動学」と「行動分析学」が、どのように違うのか?ということについて、ごくごく簡単にではありますが、お伝えしていきたいと思います。
どちらも動物の「行動」についての学問なのですが、中身が結構違うんです。
「動物行動学」
動物行動学は、生物学の中にあります。
平たくいえば「図鑑の学問」です。
ある動物がいるとします。
犬でも猿でも猫でもなんでも構いません。
まあ、ここは「犬」にしておきましょう。
この「犬」という動物が、生まれてから死ぬまでに、「どのような行動をするのか?」ということを、「観察」して調べていくのが「動物行動学」です。
たとえば、「オスの犬は、足を上げてオシッコをすることが多い」とか、「子犬のうちは、前足で遊びを誘うことが多い」とか。
このように「犬という動物は、どんな行動をするのか?」を、ひたすら「観察する」学問です。
ですから、「犬という動物の行動を『知る』ため」には、適した学問だと思います。
「行動分析学」
行動分析学は、心理学の中にあります。
心理学の中にも、哲学や「こころの捉え方」、「こころへのアプローチの仕方」などで、様々な「心理学」があります。
行動分析学は、その中でも「徹底的行動主義」という、ちょっと特殊な立場を取る「心理学」です。
まあ、このあたりは、おいおい知っていって頂ければ。
行動分析学が対象とするのは、「犬という種」ではなく、「目の前の、この犬」です。
「目の前の、この犬は、犬を見ると吠えている。何故吠えるんだろう?」ということを、一生懸命に考えていく学問です。
もう少しきちんと書けば、「行動が起こっている原因」を、解明していく学問です。
実は、「動物の行動」には、「原理」があることをご存知でしょうか?
ちょっと先取りして書きますと、「正の強化」や、「負の強化」、「オペラント条件づけ」といった言葉を、見たり聞いたりしたことがあるのではないでしょうか?
これらの言葉は、すべて行動分析学で生まれました。
そして、行動の原理を解明して、さらに…
おっと、少し長くなってしまいましたので、今日のところはここまでにしておきます。
ひとまずは「動物行動学」と「行動分析学」は、どうも違う学問らしいということが、おわかりいただければ、今日のエントリは成功です。
これから少しずつ、この「行動分析学」について、ここをご覧になっている方に向けて、お伝えしていこうと思います。
今後とも、よろしくお願いいたします。
高山 仁志