はじめてこのブログをご覧になる方へ

このブログは、DLC-PROの公式ブログです。

弊社の最新の「お知らせ」(セミナーの開催情報や新たな商品情報など) を中心に弊社の今後の展望から業界に関する疑問アレコレ!?などなど、様々な角度で思い付いたことを書き綴っておりますので、興味を持たれた方は、是非ご覧になっていただき、コメントまで頂戴することができれば幸いです。

【最新ニュース】

↓↓ ブログ記事は、ここからです!!  ↓↓


ドッグトレーナーの『理論』- 簡潔性 -

最近、ブログの更新頻度が低くなってしまい、申し訳ありません。

しかし、気を取り直してっ!!

今回は「リーダー論」における『理論』としての構成要因として“簡潔性”という観点から見てみたいと思います。

『理論』の“簡潔性”とは一体どういうことなのでしょうか?

“もし、2つの理論がデータの主要部分を説明する能力において等しいならば、仮説の構成物と仮定が少ない方の理論がより好まれる(Popper,1959)”

つまり、「理論として同じ内容のモノを説明する場合、その指標となるもの(構成物)の数と仮定しなければならないパターンの数は、少ない方が良い理論とされる。」といっていいでしょう。(←かなりザックリですが…)

では、一つずつ見ていくことにしましょう。

まず、

「仮説の構成物」とは、何なのか?ですよね!?

これについては、最初に「科学」もしくは「科学的なアプローチ」を前提とする場合、“仮説構成体”と呼ばれる「数値として測定できないもの」扱えないということを抑えておく必要があります。

そのことを踏まえた上で、この「仮説の構成物」を考えることが大切なのですが、これまたいつものようにスゴーく簡単に言ってしまえば(悪い癖かも…)、

「原因」「結果」です。

そして、この「原因」と「結果」にあたるものを、

「独立変数」(原因):実験者が操作できるもの。

「従属変数」(結果):実験により測定されるもの。

と言い、前述の通り「科学」においては、この両項目が“数値として測定できる”ことが条件となります。

とすると…、もう気付かれましたか!?

そう、「リーダー論」における“主従関係”というものは数値としては測定できないので、そもそも「独立変数」(原因)になり得ないんですね…。

あああああ…、“簡潔性”での説明をする前に話が終わってしまう…。

いやいや、そこは「科学」の素晴らしいところで、「概念」のような“仮説構成体”も無視はしません。

そういう類のモノは、

「中間変数」(媒介変数):実測できないものを含む、原因と結果の両変数の因果になんだか関係がありそうなもの。

として扱われます。

で、これらを図にしてみると、

「訓練する」(独立変数)

主従関係ができる(中間変数)

「犬が言うことをきく」(従属変数)

こんな感じになります。

これらひとつひとつが、「仮説の構成物」です。

では、ここでもう一度おさらいしましょう。

『理論』の“簡潔性”とは、

“もし、2つの理論がデータの主要部分を説明する能力において等しいならば、仮説の構成物と仮定が少ない方の理論がより好まれる(Popper,1959)”

でしたね。

ということは…、

“中間変数は省くことができるなら省きましょう”ってことになる訳です。

つまり、

「訓練する」(独立変数)

「犬が言うことをきく」(従属変数)

これが成り立たないか!?ってことを検証すれば良い訳です。

というか、普通に考えても、すごく自然な図式ですが…。

極端な例で言うと、初めて伺ったお宅のワンちゃんで、「“オスワリ”ができないんですぅ」ということで、飼主様ではどうしようもない状態であっても、私たちドッグトレーナーが、「オスワリ」を教えたら、すぐに座っちゃった…みたいなことってありますよね。

あれなんかは、ちょうど良い事例なんじゃないでしょうか…。

“そんなにすぐに“主従関係”ってできちゃうの!?“って疑問に思いますよね?

実際、その他の状況でも、よぉ~く考えてみたら、“主従関係”がいつ構築されたか?ということについては“「検証」のしようがない”ので、最終的には「この中間変数は無くても良いんじゃないの!?」という結論に至ります。

「それでも“主従関係”があるんだからっ!!」とおっしゃる方もいるでしょう。

しかし、それは、すでに論点がズレています。

私が言っているのは、

“主従関係”「有るか?無いか?」の話ではなく、理論的に考えた時に「必要か?不必要か?」という話です。

ということで、

『理論』における“簡潔性”という観点からも、「リーダー論」はその要件を満たさないと考えられます。

次回は、“普遍性”です。

お楽しみに…。

≪引用文献≫

ジェームズ・E・メイザー(2008),メイザーの学習と行動,二瓶社,P.5-6.

DLC-PRO 山崎 崇

カテゴリー: ドッグトレーナーについて — dlc-pro 1:53 AM

ドッグトレーナーの『理論』-(続)検証可能性 -

お待たせしました。

では、「リーダー論」の“検証可能性”について、見ていくことにいたしましょう。

「リーダー論」のポイントは、以下の3点だろうというところで前回は終わった訳ですが、さて、これが『理論』に足るものか?検証してみましょう。

【リーダー論のポイント】

①イヌと飼主の間に主従関係(上下関係)がある。

②その主従関係(上下関係)が逆転している。

③だから、イヌは飼主に従わない。

≪検証≫

①イヌと飼主の間に主従関係(上下関係)がある。

まずは、この“主従関係”というものを明確に定義するなり説明するなりして、検証可能なものなのかどうかを確認する必要がありそうです。ドッグトレーナーの皆さんは、どう考えておられるのでしょうか?私が、今までにいただいた回答は、以下がベスト3でした。

1.「そんなもの見れば分かるじゃないかっ!!」

2.「定義、定義って、そんなものにばかりこだわって、本質を見落とすなっ!!」

3.「イヌとヒトとの関係を表現するものとして使用しているのであって、俗に言う“主従関係”というものではない」

結局、誰一人として“明確に”説明してくれるドッグトレーナーは、いませんでした…。

でも、おっしゃることの意味するところも分かります。

なぜなら、私も以前は、同じようなことを言っていたものですから…。

ただ、それではいけないということに気が付いた…というか、気付かされたんです。それが、“識者”の方たちによる“指摘”でした。

「自分たちでも説明が付かないもの(=主従関係など)を持ち出して、商売をするというのはいかがなものか!?」

ごもっともです…。

これって実は、根拠は、有りそうで無いんですよね。

イエイヌに関する専門書や論文をきちんと読んだ人なら分かるでしょうが、専門の研究者の方たちは、同じイヌ科の動物の行動からイエイヌの行動を分析されてはいますが、それをそのまま“イエイヌも同じだっ!!”という風には断定していないんですよね。

まして、それを異種間に適用するなどということには一切触れてもいませんので、これは明らかに私たちドッグトレーナーの勝手な拡大解釈であると言えるでしょう。

どこからどのようにして、そのような知識を植え込んだのかは分かりませんが、“イヌ”そのものの理解も“かなりいい加減だ”と言われても仕方ありません…。

さて、本題に戻ります。

“主従関係”とは検証可能なものか!?

「実際、これは人間が言葉を使う中で作り出した、一定の法則性があるように見える状態を指した“概念”で、イヌがそれを認識している(もしくは、“認識できる”)のであれば、イヌに聞いて検証することもできるだろうが、それすらも分からない状況で、“ある”とか“ない”とかいう議論に終始してしまうこと自体がそもそもおかしい。」という指摘からも分かるように、

「イヌが“主従”という“概念”を認識しているのか!?」ということに関しては、

イヌに聞かなきゃ分からない!!

ということで、どうやら検証できそうもありません。

ということは、

②その主従関係(上下関係)が逆転している。

③だから、イヌは飼主に従わない。

については、これ以上の議論は必要ありませんね…。

結論として、「リーダー論」は、『理論』の構成要因である“検証可能性”満たさないということが言えそうです。

DLC-PRO 山崎 崇

カテゴリー: ドッグトレーナーについて — dlc-pro 4:57 PM

ドッグトレーナーの『理論』- 検証可能性 -

前回のこのシリーズからは、かなり時間が経ってしまいました…。それもこれも、8月に行った飼主様向けのセミナーへの反響が予想以上に大きくなり、中々ブログにまで手が回らなかったのが原因なのですが、これは極めて“嬉しい悲鳴”ですっ!!

ご参加くださった皆さんっ!!    本当にありがとうございましたっ!!

ということで、久々に続きです。

“ドッグトレーナーの『理論』は、果たして『理論』と呼べるのか!?”

このことについて、考えてみましょうということで、“ドッグトレーナーの『理論』”の代表格として「リーダー論:イヌと飼主との主従関係(上下関係)が逆転しているから飼主に従わないのだとする理論展開」を例に挙げておりました。

そして、【『理論』において重要な5項目】に照らして進めて参ります。

今回は、1番目の「検証可能性(反証可能性)」についてです。

それは、以下のようなことでした。

【検証可能性(反証可能性)】
『理論』は、事実に対して検証可能な明確な“予測”を作らなければならず、原則的に“間違っている”と証明できる「反証可能性」を兼備していることが良い『理論』として一般に同意されており、“間違っている”ことを証明することができない『理論』は予測的価値を持たないとされる。

では、この「検証可能性」とは、一体どういうことなのか!?というところから見てみましょう。

まずは、この文章を簡単な表現にしてみます。

【要約】
『理論』には、現実に確かめることができるハッキリとした“予測”ができる性質と、それを否定する立場に立った時に同様の指標を用いて明確に否定できる性質を兼ね備えていることが好ましく、将来的に明確な否定ができない『理論』が導き出す“予測(法則など)”には価値を見出すことはできない。

という風に解釈して良いと思います。

しかし、これでも引っ掛かる部分があるのではないかと思いますが、

それは、

“それを否定する立場に立った時に同様の指標を用いて明確に否定できる性質を兼ね備えていること”

という部分ではないでしょうか?

「なんで、否定されなきゃならないんだ!?」って感じられる方が多いのではないかと思うのですが、いかがでしょうか?

私も、最初の頃はそうでした。「間違いだと否定されるようなスキのあるものを『理論』と呼ぶのか!?」
という風によく感じたものでした。

でも、そうじゃないんですよね。

“もし、否定する(される)ならば、明確に否定できる構造であることが望ましい”ということであって、否定されたり批判を受けたりすることが『理論』として脆弱であるとか、『理論』は否定されることが前提なのだと言っている訳ではないのです。

こういう勘違いについては、「きちんと日本語を読めっ!!」とよく指摘を受けたものですが、ホントにそうだと思います。

ちゃんと書いてあるんですから…。

で、本題に戻りましょう。

「リーダー論」はどうでしょうか?

ポイントは、以下の3点に分けられそうです。

【リーダー論のポイント】
①イヌと飼主の間に主従関係(上下関係)がある。
②その主従関係(上下関係)が逆転している。
③だから、イヌは飼主に従わない。

ここからどのような“検証可能性”が見えてくるのか!?

続きは、次回です。

 

≪引用文献≫

ジェームズ・E・メイザー(2008).メイザーの学習と行動.二瓶社.p6-7

DLC-PRO 山崎 崇

カテゴリー: ドッグトレーナーについて — dlc-pro 3:04 AM  コメント (0)

ドッグトレーナーの『理論』

前回は、「ドッグトレーナーとは、不思議な職業だ…。」という、“識者”の方々の感想だった訳ですが、今回は、そこから更にもう少し踏み込んで“ドッグトレーナーの持つ『理論』”についての指摘です。

以前にも少し取り上げたことのあるトピックですが、ドッグトレーナーの持っている『理論』が、必ずしも『理論』とは呼べない場合が非常に多い…というか、ほぼ『理論』とは言えないものばかりだという現実について、お話したいと思います。

なぜ、“ドッグトレーナーの唱える『理論』は『理論』ではないのか!?”

それは、『理論』と呼ばれるものの“定義”をきちんと理解することで、明確にお分かりいただけるでしょう。

では、『理論』とは何か?

辞書では、以下のように説明されています。

『理論』:々の現象法則的、統一的に説明できるように筋道を立てて組み立てられた知識体系。また、実践対応する純粋な論理的知識。

ん~、なんだかよく分らないですね。

「それではっ!!」ということで、専門書を紐解いてみると、『理論』として以下に示す5つの基準が一般的に重要であるとしています。

【『理論』において重要な5項目】

1.検証可能性(反証可能性)

『理論』は、事実に対して検証可能な明確な“予測”を作らなければならず、原則的に“間違っている”と証明できる「反証可能性」を兼備していることが良い『理論』として一般に同意されており、“間違っている”ことを証明することができない『理論』は予測的価値を持たないとされる。

2.簡潔性

もし、2つの理論がデータの主要部分を説明する能力において等しいならば、仮説の構成物と仮定が少ない方の『理論』がより好ましい

3.普遍性

より広範囲の観察によって、より多くの現象を扱える『理論』は、範囲の制限された『理論』よりも優れていると通常判断される。

4.多産性

科学的な『理論』の重要な特性は、特定の課題についてさらなる研究と思考を刺激する能力を有していることが望ましい。

5.データとの一致

これは、『理論』が“いかにうまく事実と一致するのか?”ということに関する最も明らかなテストとして事実の特定された部分をかなりうまく説明することを要求するものである。

ん~~、ますます難解になってしまいましたね…。

では、これを、“ドッグトレーナーの『理論』”の代表格である「リーダー論:イヌと飼主との主従関係(上下関係)が逆転しているから飼主に従わないのだとする理論展開」に照らしてみることで、分かりやすくしてみましょう。

続きは、次回です。

それまでに、皆さんも、一度ご自身の“ドッグトレーニングに関する『理論』”について考えてみてください。

≪引用文献≫

ジェームズ・E・メイザー(2008),メイザーの学習と行動,二瓶社,P.6-7.

DLC-PRO 山崎 崇

カテゴリー: ドッグトレーナーについて — dlc-pro 6:15 PM

ドッグトレーナーは不思議な仕事!?

私の周りには犬に関する“識者”と呼ばれる方々がけっこうな数で存在する訳ですが、そんな方たちと初めて出会った時、ほぼ必ずといっていい程、聞かれることがあります。

それは、

「ドッグトレーナーって、何をやってるの!?」

という質問です。

最初の頃は、「おかしなことを聞く人だなぁ~」と思っていたのですが、“識者”と呼ばれる人に限って、「いつも最初にほぼ必ず同じ質問を受けているぞ」ということに気付き、自分なりに考察してみることにしました。

やり取りは、こんな感じです。

≪動物行動学系の先生との一幕≫

識者:ドッグトレーナーって、何をやってるの!?

私 :イヌのしつけです。

識者:ほう、イヌのしつけ!?それは、どういったものなの?

私 :社会生活への適応に必要な望ましい生活習慣を形成することです。

識者:へぇ~、で、それは、どんなことをするの!?

私 :基本的なものとしては、「マテ」・「コイ」・「スワレ」・「フセ」などのコマンドを教えたり、問題とされる行動を直したりするんです。

識者:ふ~ん、ということは、全般的に“行動修正”を行っている訳だね?

私 :そうですね。

識者:じゃ、「行動分析学」がメインなのかな?

私 :?????

識者:あれ!?違うの!????

(ドッグトレーナーの皆様、本当に申し訳ない…。当初は、こんな具合に“ドッグトレーナー”の醜態を曝しておりました…。)

さて、このような一連のやり取りから、以下のような構図が想像できます。

ドッグトレーナー行動修正”をやっている“行動修正”といえば「行動分析学」でも、「行動分析学」を知らないじゃ、何に基づいて“行動修正”をしてるんだ?明確な答えは返ってこない何をやっているんだろう!?不思議な職業だ…。

そして、よくよく聞いてみると、私に限らず、今まで訪ねてきた“ドッグトレーナー”は、皆、同じ状況だったそうで、そんなことが積み重なっていく内に、「ドッグトレーナーって、何やってるんだろう!?」って、不思議に思うようになったとのことでした。

「不思議な職業だ…。」で済ませてくれている間は、まだ良いのかもしれませんが、様々な指摘を今までに頂戴してきましたよ。

また、それは、飼主様も同じように感じておられるようです…。

そんなところを、次回以降は、書き綴ってみることにします。

DLC-PRO 山崎 崇

カテゴリー: ドッグトレーナーについて — dlc-pro 4:25 AM