分かっていないということが分かる

学会で学ぶものは何か?というお話の続きです。

前回は、

分かっていないということが分かる

ということの大切さについて、語り始めたところで終わっていたのですが、なぜこれが大切なことかと言いますと、これは、私自身が、自戒の念も込めて言いたいことなのですが、基本的にドッグトレーナーって、

犬のことを

知っているつもり

なんだと思うんです。

で、犬のことを

知っていれば、

“しつけ”とか“トレーニング”といったことが、

できる

と思っていると思うんです。

私もそうでした。

当時は、誰に聞いても「犬のことをもっと知らないと…」と言われ、何を読んでも「犬のことをキチンと理解しないと…」と書かれていた訳ですから、やっぱり、「犬のことをもっと知らないと…」って思ってしまいますよね!?

でも、実際には、“イヌ”という動物は、“学術的に”分かっていないことが非常に多い動物なんですよね。これは、今までにイヌを研究していますという学者先生方から何度も何度も言われてきたことですし、実際に、他の動物に比べると非常に論文の数が少ないことからも明白といって良いでしょう。

では、私たちが、これまでに学んできたもの(犬に関する知識)は、一体何だったのでしょうか?

これについてハッキリと言えることは、「犬に関する“学術的”ではない知識」を学んできたのだと言うことでしょう。

それだけは、間違いありません。

確かに、多くの“しつけ”や“ドッグトレーニング”に関する本も、有名なカリスマドッグトレーナーさんたちも、それぞれの主張を“学術的”な見解であるとは、一言も言っておられないので、読み手、聞き手であった、私が、勝手にそう思い込んでしまっただけの話なのですが、これと同じような経験をしているドッグトレーナーさんは、きっと多いのではないでしょうか…。

とにかく、私自身が、“業”として自分のしていることに「根拠」を求めるようになった時、今まで足を踏み入れたことのない“学術”の世界を覗いてみて、まず、自分の知識の大半(というか、ほとんど)は、業界人の経験から導き出されたもので、検証はされていないということと、“イヌ”という動物はあまり研究されていないということが分かったのです。

おかげで、今では、飼主さんから質問されても分からないことには、「分かりません。」と答えることができるようになりました。

つまり、不確かな情報を飼主さんへ伝えることが無くなった訳です。

これは、私たちがこの業界で仕事をしていく上で、非常に重要な意味を持つことは、ご理解いただけることと思います。

ということで、何度も繰り返すようですが、

分かっていないということが分かる

これは、情報を扱う者の謙虚な姿として、非常に大切なことだと思うのです。

カテゴリー: その他 — dlc-pro 6:47 PM