『行動学』を学びませんか!?(3)
さてさて、『行動学』を学びませんか?part3です。
前回、“不思議な陽性強化”を例に挙げ、『行動学』の正体が『行動分析学』であるという話をいたしましたが、これは、“陽性強化”が「おかしい」とか「いけない」ということではありません。現に私も、技術面だけを見れば、いわゆる“陽性強化”を使うドッグトレーナーですので、そのこと自体になんら問題を感じるものではありません。ただ、こうした弊害がなぜ生じるのかというところにはスポットを当て、その原因を徹底的に解明しなければならないと感じています。
なぜならば、このような問題の放置は、やがては自分達の首を絞めることになりかねないからです。(このメカニズムについては、また追々取り上げることにします。)
しかし、なぜこれらが“問題”なのでしょうか?
それは、その間違った『やり方』が、“思わぬ結果”を招いてしまうことになりかねないからです。
『行動分析学』を学んだことがある方ならば、「あぁ~、あのことか…。」ともうお分りのはずです。
そうっ!!“あの”ことなのですが、知らない人は、ずっと知らないままです…。
それが理由で、今日のドッグトレーニングは“褒めて育てようっ!!”というスタンスを取っているにも関わらず、それを知らずにただ盲目的に“褒めて育てる”を声高に叫ぶだけでは、根拠に乏しいですよね…。
少々話の筋が逸れてしまいましたが、つまり、この問題を放置することは、トレーニングを依頼した“飼主様”に不利益をもたらすことになる可能性が高いということで、“問題”ということができます。
飼主様からしてみれば、“そんなこととは露知らず…”、では済まされない“大問題”でしょう。
この“大問題”を解決できる『理論』が、『行動分析学』の中にあります。というか、凝縮されているのです。そして、そのことに是非とも気付いてもらいたい訳です。
現在、私たちドッグトレーナーが使っている様々な『技術』は、すべて『行動分析学』の『理論』から成り立っており、それ以上でもそれ以下でもありません。ただ、悲しいことに大多数のドッグトレーナーが『技術』のみを有し、その『理論』を持ち合わせず、解決できる問題を処理できずに悩んでいる現実があります。
そういった意味で、“陽性強化”もいつの間にか、『理論』から『技術』→『やり方』へと変貌し、問題解決への柔軟性を欠いたものになってしまったことは、非常に残念です。それでは、『理論』に基づいた『技術』ではなく、単なる『やり方』を知っているに過ぎないからです。
これは、いうなれば、「無免許の医者」と同じであると、いつも例えるのですが、あなた自身が診てもらうなら、以下のどちらがいいですか?
①腕はそこそこでも、きちんと大学を出て医師国家試験に合格したお医者さん
②腕は確かだが、医師免許は持っておらず“経験”と“勘”が頼りのお医者さん(←お医者さんとは呼べないですが…。)
あなたならどちらを選びますか?
どちらかを選ばなければならないのであれば、おそらく、迷うことなく①を選ばれることと思います。
その選択理由は、何でしたか?
そう、私たちも、たぶんこれと同じ立場にあると思うのです。
(あ、念のために申し上げておきますが、ここでいう選択理由は、「資格の有無」ではないですよ!!)
両者の違いは、
①広く一般に知られた『理論』を学んだ人
②特定の個人があみ出した『持論』を展開する人
です。
そろそろ、全体像が見えてきましたね。
皆さん、学ぶなら『行動分析学』を学びましょうっ!!
DLC-PRO 山崎 崇